レット症候群

レット症候群は女児のみにみられる特異な発達障害の一種です。

患者さんによりますが、生後1年間位は正常にみえることが多くありますが、1歳前後からそれまでできていた手の機能が失われ、言葉を話し始めていたのに話さなくなったりし、手の異常な動きが始まります。多くの患者さんは這い這いが出来ず、歩行は出来ても体を横に振りながら突っ張ったように歩きます。

手の異常な運動はレット症候群に特有なもので、口の異常運動を伴うことも多くあります。

てんかん発作が出ることも少なくありません。また、息をつめる、ハーハーと過呼吸をする等の呼吸の異常が出現することもあります。

年齢と共に、多くの場合下肢の筋肉の緊張が亢進し、足首が曲がってくることも少なくありません。また、脊柱の彎曲(側彎)が出現することもあります。

知能の発達は残念ながらなかなか難しいことが多いです。

レット症候群の原因は‘メチルCpG結合蛋白2’と言われる蛋白をつくる遺伝子の異常です。‘メチルCpG結合蛋白2’は人の脳の発達と機能の維持に大切な蛋白質です。

根本的な治療法は未だありませんが、正しい診断を早期にして、症状により、てんかんに対する投薬、適切な理学療法、作業療法、言語療法、などを行っていくことにより発達を促していくことが大切です。

この病気をよく知っている小児神経科医の診療が大切です。

全ての症状をなおすという根本的な治療は出来なくとも、適切な対症療法を行っていくことにより子供の長い将来を少しでも良く変えていくことが可能です。


私は多くの世界の小児神経科医の中でも最初にレット先生とお会いし、この病気が特異な発達障害であることを故瀬川昌也先生と共に世界で初めて提唱し、その後世界の研究者と共にこの病気の特徴、原因遺伝子についての研究、治療法につきましても研究し、実践してきております。


レット先生の言葉に「Care today, Cure tomorrow」(現在はより良く世話をし、対症療法をし、将来の根本的な治療に向けて)という言葉があります。

多くの発達障害の子供たちに大切なメッセージです。

特にレット症候群の患者さんはきっとこのメッセージを受けてくれると思います。