哀悼 故瀬川昌也先生の志し

小児神経学のパイオニアであられた故瀬川昌也先生が1973年に開設された「瀬川小児神経学クリニック」は昨年12月に先生のご逝去に伴い閉院となりました。

瀬川先生の初心は“小児期に発症した神経・精神疾患を成人、老人まで経過をみて、その病態・病因をニューロン(神経細胞)のレベルで理解し、真の治療法を解明し患者さんに還元していくこと”でした。

「瀬川小児神経学クリニック」はわが国で最初の個人の小児神経学の専門のクリニックでした。それまでは小児神経疾患も小児科の中で診療されておりましたが、瀬川先生は小児神経疾患は独立した専門の診療が必要とお考えになり、お父様の瀬川功博士を継ぐに当たり、代々続いた「瀬川小児科病院」を「瀬川小児神経学クリニック」とされ院長に就任されました。

以来41年2か月、初心を貫き一年365日、一日24時間を医学にそのお力と純愛を捧げ続けられました。

一人一人の患者さんとそのご家族に対する温かいお心、病気の治療、子供の脳の発達に関してのご指導、学問的には瀬川病の発見、他に多くの小児神経疾患の解明、内外の医師、研究者との交流、共同研究、若手医師の教育などにご尽力されました。

瀬川先生は78年の御生涯の間、多くのご業績を残されました。御病床にありましてもクリニックの患者さんを心配され、まだまだ達成したい学問のことを話され、私と次の世代に託されていかれました。

瀬川先生の御逝去に対し国内外の多くの同僚医師達、友人達、長年にわたり先生に診て頂いてきた患者さん達から深い悲しみと感謝のお気持ちが寄せられました。

瀬川先生は、多くの方々から親しみと尊敬の念を持って忘れることなく惜しまれ続けていくことでしょう。

私、野村芳子は瀬川先生のもと約40年間共に診療、研究活動を行って参りましたが、今後とも先生の初心を胸に秘めて小児神経の診療、研究、教育に努力を続けていく所存です。